世相をみればサギとフェイク情報が横行し、内心いつかこうなると予感していたように、末法の世かと見まごうばかり。しかし歴史は今もむかしもさほど変わらないことに気づかせてくれる。そう思うとどこかほっとするから不思議だ。
このような世の中だからこそホンマモンの、こころの世界がいぶし銀の輝きを放つ。立山山麓で自然農法を営む下坂ファームでは、一昨年仕込んだ鞍掛豆味噌が杉樽のなかで熟成した。一年ではカドが立っていた味が二年の歳月を経てまろやかとなる。このみそ汁と立山の清冽な水が育てた立山天空米をいただけば、これにまさる喜びなし。この世もすてたものではない。