北の果ての縄文ヒスイ;
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  • 2024.6.30 up

    写真は礼文島の縄文遺跡から発掘されたヒスイ。約3500年前に新潟糸魚川から運ばれた、北海道中央部以北で見つかった唯一のもの。縄文人にとって大切な食料である植物の緑色は神聖視されたであろうし、その緑を永遠に閉じ込めたヒスイはいのちと再生の象徴として最も尊ばれたに違いない。
     埋葬者とともに発掘される縄文ヒスイは形状や穴の位置などが全国で共通していて、一般的に装飾品とみられがちだが、それは違う。この形はヘビの卵と同じであり、ヘビを再生の象徴とみる縄文人にとってこの形以外考えられないのだ。また中央やや上部にあけられた穴をひもを通す穴とするのも間違いで、土偶や土器に穴があけられているのと同様、祖霊や精霊に入ってもらって、祈りの効果を最大化するためであろう。
     人類が紡ぎだした思想と文化は虚構の積み重ねとも言われるが、縄文文化が魅力的なのは、その虚構によって彼らが一万年以上にもわたって平和を保ち続けたことだ。